●中国人の春節の過ごし方 春節という言葉を聞いても、今の若い人はピンとこないかもしれませんね。 春節とは中国の旧正月で、日本でいう元旦です。 中国人にとって春節は大イベントですが、彼らは春節をどのように過ごすのでしょうか。 日本とはまた違う、春節にまつわる中国人の習慣を知るのも面白いですね。 ・待ちに待った大型連休 日本人の私たちも年末年始やお正月は特にワクワクする時期ですが、中国人は日本人以上に春節への期待が半端ではありません。 なぜ中国人は春節をそこまで楽しみにするのでしょうか。 その理由のひとつが、学校も会社も長期のお休みに入るからなのです。 学校は2か月近く、会社は仕事の種類にもよりますが、10日あるいはそれ以上の大型連休になるのです。 実家が遠いという人は、1か月ほどの休暇を取り里帰りする人もいるほど。 一年に唯一ゆっくりできるのが春節というわけですね。 他にも中国人が春節を重要視する理由があります。 なんといっても中国は広い国。 端から端まで移動するだけでも数日かかってしまいます。 家族の住む場所が離れていると、そうめったに行き来はできません。 しかし、一年に一度の春節では遠く離れた家族が集まって一家団らんを楽しめるのです。 何といっても中国人は家族とのつながりを大切にする民族ですから、春節は家族団らんの貴重な機会になるのですね。 ・春節ならではの悩みにはどう対処? そんな家族思いの中国人ですが、それがかえって負担につながってしまうことも。 子供への期待を強く持つ親としては、子供がいつまでも結婚しないでいることは望みません。 春節で久々に会った子供や年頃の親族の子に、結婚の圧力をかけてしまうことがよくあるのですね。 彼氏や彼女がいない人は、春節を機会にお見合いをさせられることも。 そうした理由から、春節に実家に帰るのを億劫に感じる若者もたくさんいるのが現状です。 日本でも里帰りをすると同じような経験をする方がいるかもしれません。 しかし中国の場合、大勢の親族から圧力をかけられることもあり、対応に困るようですね。 そんな若者の悩みを解決する手段として、レンタル恋人が最近はやっているのです。 春節に限らず、里帰りや望む時に恋人になりすましてくれるのですね。 ところが中には、「この人が本当にうちの子の恋人かしら?」と疑う親もいるようです。 そんな時でも上手く対応できるよう、個人の詳しい情報をあらかじめ把握し、何を聞かれても答えられる完璧な恋人を演じてくれるのです。 親の圧力をかわしたい人にとってはありがたいサービスなのですね。 ・春節に欠かせない爆竹 日本にはない春節の習慣としては、爆竹を鳴らすことが挙げられるでしょう。 大晦日の夜7時頃から、街のあちこちで人々が爆竹を鳴らします。 年越しカウントダウンの1時間前からは、まさに戦争のよう。 家にいても爆竹の音でテレビの音も聞こえないくらいです。 そしてこの大きな音は翌日の朝方まで続きます。 しかし最近は大気汚染の問題が深刻化しているので、都市では年々爆竹の規制が厳しくなっています。 田舎ではそれほど厳しく規制されていないので、近年では田舎のほうがにぎやかな新年が祝われているようですね。 爆竹は大きな音がするので、魔除けの効果があると考えられています。 また福を呼ぶという考えも伝えられています。 そのため春節以外にも、結婚式やお店の開店祝いなど日常生活のいろいろな場面で爆竹が鳴らされるのです。 亡くなった方を平安のうちに送り出すという意味から、お葬式でも爆竹が使われます。 約2000年にわたって使われてきた爆竹は、春節ムードを高めるために欠かせない伝統行事とも言えるのですね。 ・日本と似ている習慣について 日本とは違う春節にまつわる習慣をみてきましたが、日本と似た習慣もたくさんありますよ。 お年玉を送る、紅白歌合戦のような大晦日特番の歌番組を見ること、初詣に行くことなどです。 縁起の良い食べ物を食べるのも日本と似た習慣ですね。 例えば、魚の発音と余るという語の発音は同じであることから、魚を食べると物が豊かになると言い伝えられています。 中国では水餃子が一般的な餃子ですが、こちらも縁起の良い食べ物として愛されています。 春節の他に冬至にも、家族で餃子を食べるという習慣があります。 餃子にも富ませるという意味があり、生活が向上することや商売が繁盛することなど、いろいろな願いを込めて皆で餃子を食べるのですね。 さらに、家族円満という意味があるのが白玉団子です。 丸い形をしていることから、春節に白玉団子を食べると家族が円満で幸せになると言われているのです。 中国の春節はとても長く全部で15日もありますが、白玉団子は春節の締めくくりに食べる習慣があります。 日本のお正月の中にも、中国から伝わってきた習慣はけっこうあるのですね。 春節には日本と異なる習慣もありますが、それぞれの特徴を知って違う文化を垣間見るのも楽しい経験でしょう。